どこで聞きつけたのでしょうか。文理に復職し、ここ富士の中島校で再び教鞭を執るようになって間もなく、数年前に教えた子たち10人ほどが次々あいさつにやって来ました。すでに大学4年生か新社会人のはずですが、「先生、あの頃、ホントに楽しかったよ」と口々に言ってくれ、思いがけないうれしさを噛みしめました。しかし、その「楽しかったよ」まで一筋縄でいかなかったのも事実です。
あれは新卒で文理に入って1年目のことでした。ある保護者の方から面と向かって言われたのです。「あなたでは物足りない。前の先生に戻してほしい」と。ショックでした。頭が真っ白のまま、授業研修、教材研究を無我夢中でやったのを思い出します。辛かったけれど、自分にスイッチが入った瞬間でもありました。
現在の当塾社長である小倉先生とは、当時、この中島校で先輩後輩の間柄でした(姓は同じですが、縁戚関係はありません)。そのうち、気づいたことがあります。小倉先生が声かけした生徒は、なぜか元気になります。見るからにショゲていた子も、帰宅する頃にはニコニコ笑っているではないですか。それが何人も、なんです。そんな「小倉マジック」を自分のものにしたくて、先生の一挙手一投足をマネし続けてみました。そして自分なりに会得したのは、手を抜かないことと諦めないことです。手を抜くと、すぐ子どもたちにバレます。諦めると、二度と私についてくることはありません。
生徒一人ひとりの可能性を信じ、元気、勇気、希望を与えられる教師になりたいと思っています。手を抜かず、諦めずに向き合うことで、子どもたちに自発性が生まれ、大事なテスト前などに過密なカリキュラムを組んでも、楽しそうに、当たり前のように、それも時間前に、笑顔で集まるようになります。冒頭でお話ししたのは、そんな生徒たちだったというわけです。体調を崩していったん文理を離れた私ですが、ここの教師の真摯な姿勢は以前に増してヒシヒシ感じられます。私も負けられません。