【高等部 中島校】SCIENCE IS ELEGANT Vol.絶対零度

私たちが普段使いなれている温度の単位は摂氏(℃)が一般的です。これは水の融点を0 ℃、水の沸点を100 ℃として定義したものです。では「絶対零度」とはどんな温度でしょうか。

赤駒

物質を構成する粒子は熱運動という不規則な運動をしています。この運動は固体でも起こっており、わずかに振動しています。しかし、温度を下げていくと、この運動がどんどんと小さくなっていきその内熱運動をしなくなります。これを絶対零度と言い、これよりも引く温度は存在しません。この絶対零度の温度は摂氏で表すと-273.15 ℃となります。幾多の研究の元にこの温度が絶対零度として定義されていますが、この温度を決める決定打を放ったのが実は日本の科学者であることはあまり知れていません。

青駒

この温度の決定に挑んだ科学者は、東京工業大学(現東京科学大学)の木下正雄と大石二郎です。東工大の教授になった木下は大石を助手に伴い、実験に没頭しました。当時は、実験に使用する特殊ガラスを手に入れるだけでも大変なうえに、実験機器はすべて手作りであったため、日本一のガラス職人の腕を借りて本格的な実験機器を組み上げていきました。しかし、既に世界では多くの実験によって絶対零度の値ではないかと思われるものが出ていたため、日本の周りの研究者からは厳しい視線が注がれていましたが、献身的な研究によって世界に出遅れながらも今日の世界基準を日本人が作っていきました。

閑話休題

温度の測定は科学の種々の測定の中でも最も難しい部類に入ります。これは、素材によって熱の伝え方が違ううえに、形状によっても差異が出てくるためです。また、科学の中でも熱を扱う分野はまだまだ発展途上となります。なので、興味のある人は是非その分野に進んでみてはいかがでしょうか。

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