国語科の「1年に100人の逸材」あらかわです。この校舎ブログでは私が面白いと思った小説や作家をいろいろと紹介し、能書きを垂れたいと思います。
さて、今回紹介する作家は私が敬愛してやまない、児童文学好きの人で知らない人はいないであろう森絵都である。児童文学と言うと「幼稚」とか「単純」というイメージを持たれる方も多いだろう。しかし、児童文学で語られる内容というのは、大人が読む小説と同じである。むしろ児童文学の方が内容の純度が高く、我々に突きつけてくる問題の重さも感じやすい。想像以上に、児童文学は割り切れない難しい問題を多く取り扱っている。逆に言えば大人の小説は目くらましが多すぎる。
森絵都は作品内で、ふたつの役割をこなしている。ひとつは子供たちの「共感者」になってあげること。これによって子供たちは味方を得たような気分になる。森絵都作品の主人公たちも、子供たちと同じように色んなことで、悩み、苦しみ、もがき続けている。そんな様子を見て「自分だけじゃないんだ」と思える。
そしてもうひとつの役割は「鏡を突きつける」ことである。森絵都はその巧みな筆によって、人間の未熟さや愚かさ、不完全さ、矛盾などを鮮やかに切り取る。そしてそれを私たちの目の前に突きつけてくる。「これがあなたですよ」と。
児童文学はすげえ。それが分かってもらえただろうか。そしてそんなすげえ世界でブイブイ言わせているのが森絵都なのだ。
とまぁ森絵都の真骨頂は児童文学にあるのは間違いないが、それでも世の中には「児童文学なんて今更読めっかよ!」という読書ヤンキーがいることも重々承知している。できれば『カラフル』『DIVE!!』『ラン』などの作品を読んでもらいたいのだが、好みは変えられるものではないから仕方ない。ということで高校生~大人向けの森絵都作品の最高傑作を次回のブログで紹介しようと思います。
その時まで、トランキ~ロ!あっせんなよ。アディオス!!