NEXT

人間の生き方として

 私は毎朝6時半から、近所の三ツ峠という山に1時間近くかけて登ります。頂上近くまで行って、「この命を、この命の恵みを、この豊かな自然をありがとうございます」と、手を合わせます。
 私達は普段の仕事の中で心が怠慢になってしまいます。だからあえて苦しいことを自分に課さなければいけないと思うんです。それで三ツ峠に登っています。毎日修行です。おそらく、普通の人が登ると2時間半くらいかかるのではないかと思いますが、それを35年以上続けています。健康だからこそ毎日登れます。心の健康と身体の健康。これさえあれば何もいらないんです。  
 人間はいろいろな欲を持っています。名誉欲も権力欲も金銭欲も生理的欲求も、全部あります。毎日登山して自分に負荷を与えて、自分を苦しい状況に持っていくと、いろいろなことが見えてきます。自分の欲望をコントロールすること、自分の感情を制御することが人生においてとても大事だということがわかってくるのです。  
 私の好きな言葉で「忘己利他」というものがあります。天台法華宗の学生式に出てくる言葉です。自分の欲にこだわっていると幸せを感じられないけれども、自分を捨てて他人の利益に供するように生きると、すべてが喜びに変わってくるという教えです。  自分の欲、自分の願望を優先させるとかなわないことばかりなんです。かなわないから不平・不満が生まれます。自分がそんな欲を持たないで、自分の存在がどれだけ他人の利益になれるかを第一優先にすること、私はそれが大切なことであると考えています。

教育の原点

 私は、教育の原点は「人間性の向上」にあると考えています。学業成績は絶対的なものにはなりえません。特徴の1つではありますが、けっしてそれ以上のものではないのです。人間として大切なもの、それは人間性です。成績は変化しますが、人間性は容易に変えることはできません。ですから、頭脳が柔軟な時に、しっかりと伝えていくことが大切だと思うのです。相手の考えを尊重する、人を思いやる、感謝の心を持つ、けっしてうそをつかない、自分のやることには最後まで責任を持つこと等、基本的なことではありますが、本当に大切なことを私達大人が子供達にしっかりと伝えていくことが必要です。
 今は、ある意味、学力偏重に偏りすぎています。学業成績のよい子供を必要以上に高く評価しすぎています。成績が良いことは素晴しいことですが、それには人間性が伴わなければなりません。成績が良くなくても、人間的に優れている子供はたくさんいます。そういう子供達が、成績が良くないからといって、肩身の狭い思いをするようなことがあってはいけません。明るく元気に堂々と、学校でもどこへでも通えるようでなければいけないのです。

トップへ